手元供養とは遺骨を納骨せずに自宅で保管し、供養することの総称です。
かつて遺骨は葬儀が終わると初七日~四十九日間程度自宅などで供養して、その後、納骨堂やお墓に納骨するのが当たり前でしたが、最近は承継者不足等の事情からお墓を持たない方も多く、自宅で供養した後、海洋散骨や公共墓地の合祀墓などに入れる方が増えています。
手元供養のスタイル
以前は「のど仏」や「分骨」等、遺骨の一部を手元供養する方が多かったようですが、現在は全ての遺骨を手元供養されている方も増えてきました。
仏壇に骨壺だけ収納している方、後飾り祭壇に骨箱を置いてる方、粉骨して小さくしてサイドボードなどに大切にしまっている方等様々な手元供養のスタイルがあります。
手元供養にかける費用はいくらくらい?
仏壇も、昔ながらの大きくて立派な仏壇から、コンパクトでお洒落な仏壇にラインナップを変更しつつあります。
価格も100万円台→30万円台が主流になってきており、最近では大手家具店等でも安価な仏壇が販売されており、現在の主流は10万円前後ではないでしょうか?
若い方はそもそも仏教にこだわりがない方も多く、仏壇を選ばず「おしゃれな祭壇」をご自身で作ったりして手元供養しているのをよく拝見します。
故人が好きだった物品に囲まれて、満面の笑みを浮かべている写真などを拝見したときは、こういう供養の方が素敵だな~と思いました。
手元供養のメリットは?
お金がかからない
手元供養にすると「納骨」という儀式が一切無くなりますので、墓地を借りたり墓石を買ったり、開眼供養やお布施とおった支払も不要になります。墓地や規模にもよりますが、ザックリ計算しても50万円くらいは節約できます。
いつでもそばにいる感じ
納骨してしまうと墓地や霊園まで出向かないと話しかけた気になれませんが、手元供養だと故人がすぐそばに居るような気がするので、思い立った時にすぐ拝めます。
そもそも墓地の役割というのは遺骨を埋蔵する事よりも、そこに行って話しかけたりすることで生きている人達の癒やし効果の方が高いと思いますので、そういう意味でも手元供養は有意義かと思います。
遺骨が汚れない
これは書こうか迷ったのですが、現実的なお話として、遺骨をお墓の下に埋蔵すると水没したり泥だらけになったりと少なからず遺骨が汚れてしまう確率がグンと上がります。
遺骨に魂は無いとは言え、お墓の下で水没している遺骨を観たとき「これが先祖供養になるとは思えないな」と感じました。
そういう意味でも火葬後からずっと自宅で保管していれば水没も泥だらけになることもありませんし、遺骨をキレイな状態で保つことができるので安心です。
手元供養のデメリットとは?
「放置遺骨」になってしまう恐れ
最近増えているケースですが、一人暮らしの方が遺骨を手元供養したまま亡くなってしまうと、遺品整理の際に手続きが大変になりますので最終的に少し迷惑をかけてしまいます。
どなたの遺骨で、亡くなった方との関係が明確になれば事件性はなしという判断ができますので、遺品整理業者や不動産会社などでも納骨したり散骨したりすることができますが、判らない場合は事件化したり行旅不明人扱いで自治体絡みの面倒な事に発展してしまいます。
これらを防ぐ為には、骨壺等には記名をしておき、火葬埋葬許可書の原本なども一緒に保管しておくことをオススメいたします。火葬埋葬許可書の原本があれば、事件性に発展することは亡くなりますし、合祀墓に入れることもできます。
骨箱は結構大きい
大阪や九州などは部分収骨ですから火葬後の骨壺サイズは5寸ですが、その他の地域は7寸以上あります。骨箱のサイズは縦30cm×横25cm程度とかなり大きいです。
今の住宅は昔のように広くはありませんから、お部屋の中央にドンと遺骨が置いてあると生活導線が狭くなってしまうこともあります。
遺骨は粉骨しても違法ではありませんので、ある程度経ったら粉骨して小さくして手元供養することをオススメします。
骨箱の大きさは1/3~1/5程度まで小さくなりサイドボードの引き出しも入れられるようになります。

骨箱にカビが生えてしまう恐れ
遺骨を大きな骨箱のまま手元供養をしていると、骨箱にカビが生えてしまうことがあります。
これは骨箱に蓄積されたほこりや使用されている「のり」等が栄養となってカビが生えてしまいまう現象です。カビは「栄養・湿気・酸素」の3つが揃えばどこにでも生えます。

これを防ぐために、手元供養する際は「真空パック」が望ましいです。真空パックすることで3つの要素のうちの「湿度・酸素」を防げるからです。
遺骨には栄養がありませんので遺骨にカビが生えることは稀ですが、皮脂や虫の死骸などが混入するとそれらが栄養になってカビが生える可能性があります。真空パックをすることでこれも防げます。
真空パックの精度を高めるためには固形よりも粉末にした方がより真空にできます。
手元供養してる期間って平均どれくらい?
弊社の粉骨+手元供養コースを利用された方が手元供養を終えて、海洋散骨代行サービスを申し込んでくるまでの平均年数は約4年です。4年経つと気持ちの切替ができてくるのかもしれません。
とは言え、中には数ヶ月で手元供養を止める方もいますし、10年20年と考え、継続中の方々も大勢いらっしゃいます。こればかりは千差万別なのでしょう。
ペットの遺骨を手元供養してる方はとても多い
「ペットは我が子同然」ということで、遺骨になっても手放せず、いつも一緒にいたのに遠くの納骨堂に入れることもできないという方は本当に多いです。
うちの母も同じで、飼っていた歴代の猫たちの遺骨を写真と共に棚に並べてましたが、ある日骨壺を開けたらフサフサと白いカビが生えておりました。時々、指で撫でたりした時の皮脂が栄養になってしまったのかもしれません。
そんな事にならないように、ペットの遺骨も早い段階で粉骨して、滅菌して真空パックにしておくことをおすすめします。そうすれば何十年もキレイな状態を保てます。
ペットの遺骨を自分と一緒に火葬できるか?
これよく聞かれますので火葬場でお勤めしていた方に確認したところ、「ペットに限らず本人以外は火葬できません。でもね、粉状になってお手紙として故人のポケットなどに入っていたらこちらは判らないよね。」とのことです。
火葬場としては、火葬後に故人と共に動物の遺骨が出てきてしまったら大問題なわけです。プロの目からすれば人間の骨か動物の骨かは一目瞭然ですから。
までも、ペットの遺骨よりもペースメーカーとか腕時計とかの方が困るとは言ってました。
手元供養が済んだらどうするの?
手元供養後の遺骨の行方は2通りに分かれます。
海洋散骨する
多くの方は海洋散骨を選ばれています。そもそも「お墓を持たない」または「納骨しない」を選択されて手元供養していたので、今さら納骨という発想にはあまりならないようです。
海洋散骨は2021年には厚生労働省、2023年には国土交通省も散骨業者に対して公式なガイドラインを示し、業種として認めておりますので安心して利用できると思います。
ちなみに、弊社で手元供養粉骨された方は半額で散骨できますし、埋葬許可書なども不要です。また、祭祀承継者であれば友人や知人でも申込みは可能です。
公共墓地に合祀する
市区町村が運営している公共墓地には住民が利用できる格安の合祀墓などがありますので、埋葬許可証の原本がある方はそちらに埋蔵することもできます。
東京都立小平霊園や、多磨霊園、千葉市平和公園などでは生前予約などもできますので、手元供養しながら応募して、当たったタイミングで手元供養を終わりにするという方もいらっしゃると思います。
今後、こういった自治体による生前予約や格安合祀墓は続々と増えてゆくと思いますので、ご自身がお住まいの市区町村で募集をしていないか調べてみるのも良いでしょう。
手元供養品を選ぶときの注意点
最終的な処分時に困らないモノを
手元供養で大きな仏壇を購入する方は少ないと思いますが、ここ数年で高齢者の遺品処分品で問題になっているものが仏壇です。
家具屋さんで売っているような装飾の施されていないシンプルな仏壇は木材として一般家庭でも可燃処分できますが、彫り深く立派な装飾が施されている仏壇は処分業者が怖がって引き取ってくれない時があります。この場合の怖がってとは「お焚き上げが必要なのではないか?」ということです。
最近ではこの「引き取られにくい仏壇」に目を付けて高値で回収する業者がいますので、あまり立派な仏壇を購入してしまうと最終処分の際に高額になりますので気をつけましょう。
遺骨を直接加工するのは止めて!
遺骨をガラスに閉じ込めたり、セラミックで固めたり、ダイヤモンドに加工したりすると最終的な処分ができなくなって後々後悔する方がいらっしゃいます。
以前いらしたお客様はセラミック加工してプレートにしてましたが、どうやっても粉にはできませんでしたのでそれだけ返却しました。
お客様自身でハンマーで叩いたりして粉にしようと試みたようですがセラミックなので固くて割れず、故人の名前と死亡年月日までしっかり刻んであるので海に沈めることもできず、骨ではないので自治体の合祀もできなくて、結局高いお金を払ってお寺に引き取ってもらったそうです。
いろんな業者がいろんな加工を勧めてきますが、遺骨を加工するのは最終処分に困るので止めた方が良いと思います。
手元供養品を買うときの選び方
小さな手元供養品からそこそこ立派な手元供養品まで、今はありとあらゆるメーカーから販売されてますよね。ですので一概に「これがおすすめ」とは言えません。
何を選んだら良いか判らない時は、まずAmazonや楽天で「手元供養」と検索して「こういうのがあるんだ」と目を通してから、お仏壇のはせがわやニトリなどに実際に行ってみて現物を見てみると良いと思います。
お店に行く前に、自宅のココに置きたいという場所があれば、そこの寸法を測ってメモしてから行った方が良いです。
最近は一般的な家具と同じ材質で作られており、蓋を閉じてると一見仏壇とは判らないモノが多いのが特徴的です。
ろうそくや線香はLED式がおすすめです
あと最近の傾向として本物の火や線香は使わなくなってきています。田中真紀子さんが実家にお参りに行った際に線香の消し忘れが原因で火事になってしまった事件があり、その頃当たりからLEDに変える方が増えました。
義母宅ではLEDろうそくを使ってますが、昔の電球式と比べて電池がもの凄く長持ちですし何より安全で空気も汚れないのでオススメです。
→これがLED線香です(Amazon)
さいごに
長々と書いてしまいましたが、この記事を読んで皆様が安心して手元供養できれば幸いです。
よろしければ弊社の粉骨+手元供養コースをご利用ください。パンフレットは無料でお届け中です。
