何はともあれ湿気とカビ対策
遺骨自体はリン酸カルシウムで弱酸性ですからカビが生えることは稀です。骨壺も陶器製や大理石でできていますのでカビが付着することは稀ですが、骨箱や風呂敷にはカビが生えます。
上画像はお客様宅に引取に行った際の骨箱ですが、陽当たりの良い窓際に放置してわずか半年でこれだけカビが繁殖していました。幸い骨壺の中までは繁殖してませんでしたが、陶器の表面は真っ青な状態でした。
温度差の激しい場所には置かない
先程のお客様は故人が大好きだった庭を見ていられるようにと窓際に骨箱を置いていました。陽当たりの良い場所は常に乾燥してるように見えますが、昼夜の温度差で骨壺に結露が付きやすく、それが湿気の原因となってカビの繁殖原因となってしまいます。
自宅内で湿気の溜まりやすい場所とは?
次に気をつける場所は「湿気の溜まりやすい場所」です。例えばキッチンから立ちこめる湯気、お風呂場から流れてくる湯気、洗濯物を干してる時の湿気などが滞留する場所などは危険です。
また、仏壇の下に収納している方も多いのですが、良質な木材を使用している仏壇は湿気をコントロールできますが、仏壇もどきは湿気が溜まります。密閉している場所に置く場合は定期的に確認することをお勧めします。
果物やお花など湿気を含むものは骨箱のそばに置かない
遺骨の近くに供物を置いてる方も多いと思いますが、果物や生花、お供えしたお水やお茶などから湿気が移ってカビが生える事がとても多いです。
特に果物や生花はカビの栄養源となる有機物が豊富に含まれているばかりでなく、昆虫などを寄せ付けますので要注意です。昆虫の死骸はカビ繁殖の起源になります。
こうしたお供え物は遺骨から離れた場所に置くか、湿気を発することがないようにビニール袋に入れておくなどの配慮が必要です。どうしてもお供えしたいときは長時間放置は避け、早めに下げましょう。
地震対策をしておく
最近はとても地震が多いので対策が必要です。骨壺は倒れると本体と蓋は簡単に空いて中の遺骨がこぼれてしいまいます。骨箱に入っているとはいえ、大きく揺れれば倒壊する可能性もあります。
対策として最も効果的なのは粉骨して真空パックにしておくことです。真空パックにしておけば、例え地震で転がってしまっても遺骨が飛散することはありません。
そのうえで密閉度の高い桐箱に入れておけばさらに飛散を防げますし、万が一水害にあっても桐箱は水に浮きますので発見が容易になります。
粉骨したくない場合は、骨壺の本体と蓋をビニールテープ等できっちり留めて、骨箱はなるべく低い場所で安置すると地震の際でも飛散を防げる可能性が高まります。
実際、お客様に聞いた話ですが、葬式が終わって祭壇に置いてあった時に地震があり、骨箱が落ちて中の遺骨が飛び散ってしまったのですが、細かくなった遺骨を全て取り切ることは難しく、最後は止むなく掃除機で吸ったと言ってました。掃除機で吸う際「ごめんなさい!ごめんなさい!」と泣きながら吸ったそうです。
そんな事にならない為にも粉骨+真空パック+桐箱をお勧めします。
火事対策をする
遺骨を自宅で保管する際に、お線香やろうそくを灯す方も多いと思いますが、最近は火災防止の為に本物の火は使わずLED式のお線香やろうそくを使用する方が増えています。
覚えている方も多いと思いますが、某政治家の方がお線香をあげて火事になってしまいましたよね?有名な方なのでニュースになりましたが、実際はお線香やろうそくが原因のボヤ事件はとても多いのです。
弊社は無宗教ですので何とも言えない立場ではございますが、消し忘れて火事にしてしまった・・・など、故人に対しても申し訳が立ちませんから「安全第一」で良いと思います。
四十九日経ったら納骨しなくてはならないの?
そもそも四十九日というのは仏教的な数値期限であって、神道なら五十日、キリスト教にいたっては特に決まりはありません。
いつの頃からか「納骨は四十九日までに行わなければならない」みたいな風習になってますが、なんとなくこれは納骨をせかす必要がある方達が広めた迷信のような気がします。
法律上は遺骨を何日自宅に置こうが合法ですし、実際何十年も自宅で保管されてる方も大勢います。自宅で保管していてそれが原因でどうにかなってしまった!等という怪談話も聞いた事がありません。
大好きだった方が亡くなって、しばらく遺骨を置いておきたいという気持ちの方がごく自然だと思います。様々な例を見てますと、いつの日か気持ちに踏ん切りがついて「一歩進もう」と決心して遺骨とお別れしたりする方が多いですから自然な気持ちに従えば良いと思います。
ご参考になれば幸いです。