専門家が教える2024年最新「遺骨の処分方法」

千葉市・平和公園 遺骨
遺骨処分は自治体の合祀墓が安心

「遺骨の処分」と言うと聞こえが悪いのですが、そう検索する方が多いようなので合わせて書かせていただきます。前提として述べておきますが遺骨の処分ではなく「とむらう」です。

そろそろお彼岸ということで、お墓参りされる方も多いと思います。毎年、この時期になると親戚一同が墓前に集まり、その後の食事会で「お墓どうする?」という話しになり、墓じまいの依頼が弊社に多く寄せられるようになります。

墓石は石材店に依頼すれば簡単に処分してもらえますが、お墓の下に眠っていた遺骨の処分は簡単にはいきません。遺骨には魂はないと言われておりますが、丁重に扱わないと今までの供養が全て台無しになってしまいますし、何よりも遺族のお気持ちがモヤモヤしてしまいます

「先祖の遺骨を処分だなんて・・・」と思う方もいらっしゃるかもしれません。とはいえ永遠に保管してゆくことはできませんので、末代の承継者はどこかのタイミングで(言い方は悪いですが)処分しなくてはならないのです。

ということで今回は粉骨業に10年携わり、累積6000件以上の遺骨を取り扱ってきたプロの目線で「遺骨の正しい処分方法」をお伝えしたいと思います。

大事にしなくてはいけないこと

先ず、遺骨はご先祖様達ですから大切に扱わねばなりません。物質的にはリン酸カルシウムの「亡骸」ですから火葬灰として処分ができるとしても、粗末に扱うようなことがあってはならないと思うのです。

物質として処分せざるを得ない状況にあったとしても、その「想い」や「弔う気持ち」の部分は大切にしながら実施しなければならないと思います。

中には宗教的に粗末に扱うところもありますが、そういうことをしてしまうと処分した遺族の気持ちのどこかに後悔が残ってしまうと思うので、可能な限り丁寧に、大切に取り扱いつつ処分するのが良いと思います。

お墓参り

昔の遺骨処分の方法

昔は「墓じまい」という概念がありませんでした。墓守である祭祀承継者が途絶えてしまうと墓石を撤去することは稀で、ほとんどの墓石が放置されていましたので、現在でもその名残が各地の墓地に見られると思います。お墓に放置する=遺骨の処分のような意味合いが深かったような気がします。

バブル時代にお墓ブームがあり、多くの墓地や霊園ができるようになると、古いお墓の撤去や整理も頻繁に行われるようになりました。

墓地区画は常にキャンセル待ちで片付けて再販すれば高値で売れたので、承継者が不在になると管理者によって墓じまいが行われ、撤去された墓石の下に眠っていた遺骨は集められて新たに建立された「合祀墓」や「合葬墓」に永代供養されました。

現代の遺骨処分の方法

一般寺院の合祀墓へ

お墓があった菩提寺にそのまま合祀するパターンはとても多いです。同じ寺院内ではあっても一般墓から合祀墓への改葬になりますので、市役所へ申請手続きは必要ですが、同じお寺であれば揉めることはないのでとても簡単です。また、遺骨を移動する事がないのでとても楽です。

[注意] – 石材店や墓じまい代行業者が改葬申請書類の作成や提出などを代行する行為は非弁行為となり違法です。必ずご本人様で行うか行政書士に依頼しましょう。

一般寺院の合祀墓は、納骨堂などを作り、骨壺から取り出した遺骨を集積している物もあれば、大きな穴を掘って土中に直接集積しているところもあります。

デメリットとしては料金が高いところが多いことです。格式の高いお寺では70万円/名するところもありますが、平均すると30万円/名前後のようです。このあたりの料金はお寺側の胸先三寸なので地域差が色濃く出ます。

自治体の合祀墓へ

最近では多くの自治体が公営霊園を設け、その中に合祀墓を設置しています。市民の最終的な社会福祉として重要な役割を担っているので使用料金も一般寺院などに比べて安価なことが多く、合祀墓の相場は約8万円前後だと思われます。都心部では高く、地方では安価です。

自治体ではさらに安価で埋蔵できるような取り組みも積極的に行っています。例えば東京都では多摩霊園樹林墓地じゅりんぼちにおいて、遺骨のままであれば9万円/名ですが、粉骨すると3万円/名(粉骨代別)で埋蔵することができるようになります。

これらに習って2023年8月に千葉市が新設した樹木葬型合祀墓では、粉骨しないと6万円/名ですが、粉骨すると4万円/名(粉骨代込み)まで安価になります。

千葉市・平和公園
遺骨処分は自治体の合祀墓が安心

このような感じで各地の自治体がより安価な合祀墓設置に予算を投じ始めています。

デメリットは、埋蔵許可証が無いと利用できないこと、分骨は利用できないこと、時として抽選待ちになること、居住者限定の制限、地域外からの改葬不可などです。

海洋散骨へ

かつて散骨は違法か?合法か?と問われていた時期がありましたが、2021年3月に厚生労働省が散骨業者向けに公示したガイドラインによって違法の疑いがなくなり、遺骨の最終的な弔い方法として海洋散骨が加わりました。

海洋散骨は遺族が船に乗って行う「乗船散骨」と、散骨業者に依頼する「代行散骨」があります。ドラマや映画の影響で遺族が撒くタイプを想像している方が多いのですが、実際は代行散骨の方が圧倒的に多く行われています。

海洋散骨のメリットは埋葬許可証が不要なこと、分骨やペットも利用できること、抽選待ちがないこと、改葬手続きが不要なこと、散骨代理であれば安価であること、そして遺骨を自然に還すことができることです。

デメリットは、拝む場所がないことくらいです。

自宅の庭に散骨はできるのか?

昭和世代などは解るかも知れませんが、ペットが亡くなると庭に埋めてましたよね?実はペットの死骸は法律上では可燃物扱いなので庭に埋めても違法にはならないのです。

ですが人骨は別です。ザックリ言うと庭に埋めたら違法になります。

墓地、埋葬等に関する法律、第4条には「埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行つてはならない。」とあります。これは解釈の方法だとは思いますが、要は墓地以外に遺骨を埋めたら違法なのです。

つまり現時点では正式な許可を受けて火葬された遺骨を、人骨と判らないようにきちんと粉骨し、土に埋めたりしなければおとがめ無し。となっています。

とは言えども人骨は粉骨すると約2kgほどあります。物質的はリン酸カルシウムですから酸性雨を浴びて少しづつ溶けるかもしれませんが、基本的には水に溶けることはありません。これだけの量を庭に撒いたらおそらく一面真っ白になり、何十年もその状態が続くことになります。

故人の遺骨がいつまでも庭に撒かれている状態を眺めながら過ごせますか?こういった理由から庭に散骨することはお勧めはできません

最も安心できる遺骨の最終処分方法とは?

専門家としてあらゆる角度から考察し、最終的に最も安心できる遺骨の処分方法は「自治体の合祀墓に入れること」でしょう。

自治体であれば破産することもないですし、合祀墓周辺の設備整備なども定期的に行われ、お参りに行きたくなったらいつでも行けます。合祀墓なので他の遺骨とごちゃ混ぜで埋蔵されてしまう事さえ気にならなければ本当にお勧めです。

自然に還る形式で、かつ墓地の認可を受けている場所などは最高です。例えば2024年8月にオープンした、はなうたガーデン伊東(静岡県伊東市)は粉骨した遺骨を紙製の骨壺に埋蔵するので100%自然に還る完璧な樹木葬です。しかもゴルフ場に隣接しており海まで見えるのでゴルフが大好きな人にはたまりません。

最も安価な遺骨の最終処分方法とは?

専門家としてあらゆる角度から考察し、最終的に最も安価な遺骨の処分方法は「海洋散骨代行」でしょう。

ただし自治体が安価な合祀墓を設置してますので、この価格を下回る代行散骨だけが格安でお得ということになります。

例えば東京都なら多摩霊園の樹林墓地(粉骨)が30,000円で粉骨代は別ですから、粉骨代を12,000だとして合計42,000円以下で代行散骨できるならお得です。

千葉市だと粉骨代込みで4万円ですからそれ以下の料金で散骨できるならお得です。それらを考慮して弊社の散骨代行は18,000円(東京湾北部)に設定されています。

少し安すぎるかな?と思いましたけど、生活保護を受給されている方や、後期高齢者の方でも利用できるように可能な限り安価にしてあります。

夏秋の海洋散骨代行
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将来的に遺骨の処分方法はどうなるのか?

火葬場で焼き切り?

遺体を焼く際、「火力を上げたら遺骨が無くなるので火葬場の職員に心付けを渡して焼き切ってもらった・・・」なんて話を聞きますが都市伝説です。実際そんなことはできませんしやらないと現役の斎場職員に聞きました。ですので少なからず日本の火葬は遺骨が残ります。

大阪や福岡など、国内の一部の地域では「部分収骨」といって、主要な部分だけを収骨してあとは廃棄してまう慣習があります。これを5寸壺に入れて渡すのが通常なのですが、火葬前に「誓約書」を書くと全ての遺骨の引取を拒否できます。

こうした例が国内で既にあることから、近い将来こういった慣習が全国に広がる可能性は否めません。

ただ全ての人が遺骨の受取を拒否するわけではないですし、大事に持ち帰って遺骨と一緒に居たいと思う方の方が大勢いますので、火葬場で遺骨の処分が当たり前になる世の中が来ることはまずないと思います。

ちなみにいづれの部分収骨地域も、遺骨を引き取った後で「やっぱり要らないので引き取ってください」と火葬場に持って行ってもそれはできませんと拒絶されますのでご注意を。

遺骨以外の不要品もきちんと処分しよう

金属や入れ歯、眼鏡などの処分

骨壺の中には遺骨と一緒に色んな物が入っています。特に多いのが眼鏡や腕時計など故人が生前身につけていた物です。その他、棺桶の装飾に使用したタッカー針やネジ、釘といった物など実に様々な異物が一緒に入っています。

遺骨と一緒にネジや釘まで入れるなんてどんな神経してるんだ!と思いましたが、古い火葬場は分別する術がないらしくとにかく集めて全部入れてしまうのが慣習となっているようです。ちなみに最新の火葬場には分別技術があるらしくあまり異物が入っていません。

これらは金属スクラップとして融解処分します。

よく「金歯はありませんでしたか?」と聞かれるのですが、骨壺の中から金歯が出てくる事はほとんどありません。金歯など火葬の際に溶けて丸くなり、火葬台の上に落ちていると思います。そして火葬場により回収されていることが大半だと思われます。

骨壺の処分方法

骨壺は陶器製と大理石製があります。陶器製の骨壺は割って陶器くずとして廃棄できます。ご家庭で処分する際はお茶碗などと同じ扱いですが、割らずに出すと回収してもらえない事があります。

大理石製の骨壺も割って採石として処分できます。クリーンセンター等に持ち込んで処分してまらいます。

いづれの骨壺も名前が書いてなければ処分は容易ですが、名前が彫ってあったりすると処分時に身元が判明してしまったりしますので個人での処分は難しいと思います。この場合は石材店や粉骨業者などに処分を託した方が良いと思います。弊社では粉骨時に無料処分しております。

位牌の処分方法

仮位牌 – 白木の位牌は仮位牌と言います。名札のような物で魂入れなどは行ってない場合がほとんどですので名前を消したり剥がしたりして木材として処分できます。

本位牌 – 黒い位牌は本位牌といい、多くの場合魂入れが行われているので、処分の際は魂抜きをしてから可燃処分します。魂抜きが終わればただの木札だとか、宗派によって見解が様々なのでどれが本当なのかよく解りません。心配な方は位牌を作った菩提寺にてお焚き上げをしてもらうのが良いでしょう。

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