遺骨を食べる事はできるのか?大丈夫?

遺骨

結論から先に述べますと「遺骨はリン酸カルシウムなので食べても無害のように感じますが、人体に有害な六価クロムや不純物が含まれている可能性があるので食べない方が良い」です。

粉骨というお仕事していると時々びっくりすることがあります。その内の1つが「遺骨を食べる」という行為です。

粉骨をするために、遺骨は骨壺から取り出し作業台に並べるのですが、立会粉骨の場合はこのタイミングで遺族に確認をしてもらうことがあります。

遠くから確認する方もいらっしゃれば、近くに寄って目をこらして見てみたり、指で触れてみたりと様々な方がいらっしゃいます。男性よりも女性の方が興味津々でご覧になってますね。

火葬の際は亡くなって間もないので、感情が交錯してる事が多く、遺骨をじっくり見るということがほとんどできませんが、日が経つとかなり冷静に見ることができるようになるみたいです。

旦那さんの遺骨を手に取って「お父さん・・・」と呟く奥さんもいらっしゃれば、年老いたお母様の骨を見て「お母さん小さくなっちゃったね」としみじみする方など千差万別です。骨粗鬆症が進んだウェハースのような骨に突き刺さっていた人工関節を見て泣き崩れたお客様もいらっしゃいました。骨は語ります、ほんとうに・・・。

そんなある日、お客様から「遺骨食べてもいいですか?」と聞かれたことがありました。おそらく俳優の勝新太郎さんがお父さんの遺骨を食べてしまった事を聞いて「私も食べたい」と思ったのでしょう。

私はそんな事もあろうかと事前に調べておいたので、「有害物質が入っている可能性もありますので食べないでください」とだけ伝えておきました。でもその時、お客様はニヤリとしましたので、おそらく自宅に戻った後で食べるんだろうな・・・と思いました。

遺骨の主成分はハイドロキシアパタイト

遺骨の主成分はハイドロキシアパタイトでリン酸カルシウムの一種です。骨や歯の成分と同じですから成分だけで不純物などが含まれていなければ人体には無害でしょう。

ただし、遺骨の入っている骨壺内には棺桶に使用されていた釘やネジ、溶けたプラスティック、焼け残った医療器具など遺骨以外の物もたくさん入ってますので不純物ゼロということはまずあり得ません。

また、火葬の際に金属が高温に晒されるため、遺骨に六価クロムが付着する可能性があります。六価クロムは強い酸化作用があり、IARC(国際がん研究機関)によって発がん性物質として分類されています。これが最も有害と思われます。

全ての遺骨に六価クロムが付着しているわけではありませんが、検査の結果では20件に1件程度の割合で検出されてますので注意が必要です。

なぜ遺骨を食べたいのか?

お客様に「どうして食べたいんですか?」と尋ねたことがあります。

お一人は女性の方で、年が離れた旦那さんが亡くなり、大好きだったので自分の一部に取り込みたい。というのが理由。この方は私が「食べないでください」と言っているのに「スープに混ぜたら飲めるかな」とか「カプセルに入れたら飲み込めるかしら?」など食べる気満々でお持ち帰りしました。

もう一方は男性で、お母様の遺骨を食べる事で肌身離さず一緒にいられるという理由でした。母子家庭で育ったらしく、自分の家族はいるけどやっぱり寂しいとずっと涙目で語られておりました。

あと数名いらっしゃいますが、皆さんの共通点は「愛情が深い」ということだと思います。勝新太郎さんが「これで父ちゃんは俺の体の一部になった」とおっしゃっていたそうですが、正にこれなんだと思います。

遺骨を食べたらどうなるのか?

飲み込んだ遺骨は胃や腸で分解されて体の一部として吸収されるでしょうから魚の骨を飲み込んでしまった後の課程と同じだとは思います。遺骨は弱アルカリ性、胃酸は強酸性ですからあっという間に消化されるでしょう。

気になる点として火葬後の遺骨は突起物なので、そのまま飲み込んだ場合、食道や粘膜に傷をつける可能性があります。火葬済みの遺骨はもろくなっているとは言えども軽石程度の強度は保っています。

粉状であればこういった危険性も低くなりますが、粉骨してない遺骨は小さな軽石を飲み込んでいるのと同じ危険性があります。

また、火葬直後の遺骨は冷めているとはいえ骨壺が熱くて触れないほど余熱がありますので火葬当日に遺骨に触れたり食べたりしたら火傷をする恐れがありますから、火葬場で食べようとする人がいたら絶対に止めた方が良いです。呼吸器を火傷したら死に至る可能性もありますのでこれは本当に危ないです。

どうしても遺骨を食べたい!

「遺骨は食べないでくださいね」と言っても食べる人は食べてしまうでしょう。

食べたい方の理由は「自分の一部に取り込みたい」ですから、どうしても説得できない時は、遺骨で何か食物を育ててそれを食べても同じでは?と説得してみてはいかがでしょう?

遺骨はリン酸カルシウムです。リン酸は植物の三大栄養素といわれるほど貴重な栄養源です。カルシウムイオンは酸に溶けますので、雨を浴びた酸性土壌に撒くと中和して植物がよく育つでしょう。

そこで育った植物を食べても「取り込む」事には変わりないのでは?と説得してはいかがでしょうか?そうやって植物を育てて時間稼ぎをしている間に「食べたい」と思う気持ちが失せてくれることを願いましょう。

ちなみに遺骨はそのまま撒くと遺棄罪に問われる可能性がありますが、粉末状にしてあれば自宅の庭や花壇に撒いても違法にはなりません。→遺骨と法律(外部)

以上、粉骨の専門家として意見を述べさせていただきました。

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