競売物件から遺骨が出てきた時の処分方法と手順
最近、不動産会社による競売物件購入後に残置物として遺骨があったのですがどうしたら良いでしょうか?というお問合せが増加しています。
冷蔵庫やエアコンなどの「残置物」は所有権移転などの手続きで比較的簡単に処分できますが、遺骨や仏壇等に関してはきちんとした手順をおって処理してゆかないと、後から遺族が現れて民事裁判に発展したり、刑事事件として立件されてしまうかもしれませんので正しい手続き処理が必要です。
特に不動産会社やオーナー様は第三者になりますので正規の手続きが必要です。
残置遺骨の処分方法手順
1.誰の遺骨なのかを確認する
はじめに誰の遺骨なのかを確認します。万が一にも他人の遺骨だった場合は警察に通報することになりますので、手袋をはめ、動かす前の写真を撮ってから確認作業をお勧めします。骨壺は陶器製なので簡単に指紋が付着します。
遺骨が居住者の親族などであれば次の手順(2)に進めますが、不明の場合は警察に通報し、現地で事件性が無いか確認を取ってから次に進みます。
記名がある場所はどこ?
骨壺の側面や蓋などに記名があればその方が故人になります。古い骨壺は蓋の裏に記名されていたり、骨壺の中に名札が入っていたりもしますのでこちらも確認しましょう。
骨壺に名前が書いてない場合は?
周辺に火葬埋葬許可証がないか探しましょう。遺骨を火葬した際には必ず祭祀承継者に手渡されている書類です。多くは手渡されますので仏壇や重要書類と一緒になってますが、無くさないよう骨箱と骨壺の間に挟んであるケースも多いです。
警察に通報する場合の注意点
通報先は物件最寄りの交番か110番で良いと思います。慌てずにきちんと事情を説明すれば警察官が現場に来て事情聴取してくれます。
警察は確認作業はしてくれますが、家の中で見つかった遺骨に関して回収はしてくれません。事件性が無いと判断された場合は、遺族や不動産管理者などが祭祀承継権をもって適切に処分するよう促されて終わりです。
自治体が無料で回収してくれるケースとは?
家の中などではなく、外で見つかった遺骨は「拾得物」として警察に通報し、引き取り手が不明の場合に限り自治体によって回収・保管されます。かといって誰の物か解らないようにして放置すると遺棄罪などで指名手配になりますので絶対にしないように!
2.祭祀承継者が誰なのか確認する
祭祀承継者(さいししょうけいしゃ)とは?
遺骨や仏壇、お墓といった物には祭祀承継権という権利があり、これらは財産権には含まれず別物とされています。祭祀承継者は遺骨や仏壇、お墓などを移転したり処分したりする権利を持っています。
残置物だからと一緒にして権利者に許可を得ずに処分すると、後々損害賠償を請求されたりしますので注意が必要です。
慣例では遺族が承継者
祭祀承継者というのは重要な権利にも関わらずとても曖昧な権利です。遺族全員が権利者である必要もありませんし、遺族の間で話し合いができていればたった一人が承継者でも構いません。
とは言え処分の際には責任問題に発展しますので、財産権と同じように書面化するなどして明確にしていた方が良いです。
遺族に連絡が取れる場合は・・・
一人でも遺族がいる場合はその方に祭祀承継権は財産権とは別であることを説明して、遺骨や仏壇の処分を依頼します。
競売物件などの場合は遺族に引取を拒否されるケースが多いので、その場合は書面をもって祭祀承継権を不動産側の法人や個人に移します。
大抵の場合は金銭的負担をしたくないという理由で断られるので、金銭的な負担は不動産側で面倒見ますので~と明言するとすんなり応じてくれると思います。
作成中→ 祭祀承継権の確認書(テンプレ)
遺族に連絡が取れない場合
単身者や身寄りがおらず、祭祀承継者が誰なのかも判らない場合は裁判所に祭祀承継者の指定の申し立てをして祭祀承継者を決めてもらいます。
管轄は家庭裁判所になりますので、行政書士や弁護士さんを通じて必要書類を揃えて申し立てします。審判が降りるまではおおよそ1ヶ月程度かかりますので、その間遺骨は何処かに保管しておく必要があります。
申立て料金は数千円ですが、当然ながら士業の方々に依頼するとそれなりに手数料は必要になります。
注意点としては、祭祀承継権には遺骨だけではなく、仏壇や墳墓も含まれるので、申立書には明確に「遺骨だけ」や「遺骨と仏壇のみ」など必要な事項だけを明記することをお勧めします。このあたりは弁護士さんなどと相談して下さい。
3.遺骨の最終的な処分方法を選ぶ
ご自身が祭祀承継者になってしまえば遺骨をどうするかはあなた自身で自由に決定できます。
最も安価で確実なのは散骨でしょう。散骨であれば埋葬許可証が無くても申込が可能です。
まごころ粉骨の散骨代行(東京湾北部)コースであれば粉骨から散骨、骨壺等の処分費用も含めて16,500(税込)で全ての遺骨をキレイに自然に還すことができます。
裁判所に審判を委ねますのでそれなりに時間は要しますが、遺骨の取扱はとてもセンシティブな事項なので、法律を遵守して適切に処分することをお勧めします。