遺骨アクセサリーとは?
遺骨アクセサリーとは、亡くなった人や動物の骨を収納または加工して身に着けたりできるよう装飾品にすることを言います。
古代より人は、骨などに穴を空け、紐を通し首飾りにしたり、骨を加工して釣り針や矢じりなどを製作技術を持っていました。もしかするとその技術を使って、故人を偲んで装飾品にしたりする文化もあったかもしれません。
現代においては法律上、未火葬の遺骨を加工することはできないので、火葬済みの焼骨を収納または加工するなどして、これを「遺骨アクセサリー」と呼んでいます。
遺骨アクセサリーは簡単な物であればご自身で作る事もできますが、粉骨や加工といった特殊な技術を伴いますので、多くは専門業者に委託して製作されています。
遺骨アクセサリーの種類
ペンダント・ネックレス
遺骨アクセサリーの中で最も人気が高く、圧倒的なシェアを誇るのがペンダント・ネックレスタイプです。小さじ一杯入るタイプで4000円や、耳かき一杯も入らないのに数万円するものまでピンキリですが、人気は5000円前後のステンレスボトルタイプです。
- 選ばれている理由: 胸元、つまり「心臓の近く」に故人や愛するペットの存在をいつでも感じられるため、心理的な安心感が非常に高いのが特徴です。
- こんな方におすすめ: 周囲に遺骨アクセサリーだと気づかれたくない方にも最適です。服の中にすっきりと収まるデザインを選べば、プライベートはもちろん、仕事中やフォーマルな場でも周囲の目を気にせず、ずっと一緒に過ごすことができます。
- 選ぶポイント: 毎日着ける場合は、チェーンの強度や、アレルギーを起こしにくいチタン・サージカルステンレスなどの素材を選ぶと安心です。また、湿気の侵入を防ぐ防水加工が施されているものがおすすめです。

指輪(リング)
手元を動かすたびにいつでも視界に入り、大切な人の存在を身近に実感できるのが指輪(リング)タイプです。
- 選ばれている理由: 「ふとした瞬間に目に入ることで、いつも見守られている安心感がある」と、深い喪失感の中にいる方を優しく支えてくれるアイテムとして選ばれています。既婚者の方であれば、結婚指輪と重ね付けできるような細身でシンプルなデザインも人気です。
- こんな方におすすめ: 常に手元を見て、あの子やあの人の温もりを感じていたい方にぴったりです。
- 選ぶポイント: 指輪は日常生活の中で最もぶつけやすく、傷がつきやすい部位です。また、手洗いや消毒の頻度も高いため、完全防水加工が施されているものや、変色しにくいプラチナ・18金などの高耐久な素材を選ぶのが後悔しないコツです。
ブレスレット、バングル
袖口からさりげなく覗くブレスレットやバングルは、スタイリッシュに手元供養を取り入れたい方に支持されています。
- 選ばれている理由: 首元にネックレスを着けるのが苦手な方や、金属アレルギーで胸元が荒れやすい方でも安心して身につけられます。
- こんな方におすすめ: 近年は、レザー(本革)を組み合わせたカジュアルなものや、編み込み紐、数珠タイプなど、男性でも違和感なく日常使いできるメンズライクなデザインが豊富に揃っています。「いかにも供養品」という見た目を避け、おしゃれに身につけたい男性や若い世代に人気です。
ブローチ、タイピン、キーホルダー
「アクセサリーとして肌に直接身につけるのには少し抵抗があるけれど、いつも近くに置いておきたい」という願いを叶える形状です。
- 選ばれている理由: ジャケットの襟元やバッグ、鍵など、お気に入りの持ち物に自然に取り付けることができます。
- こんな方におすすめ: 普段アクセサリーを着ける習慣がない男性(ビジネスシーンでのネクタイピンなど)や、ご高齢の方への贈り物としても非常に喜ばれます。また、お仕事の都合上、勤務中に一切のジュエリー着用が禁止されている方でも、キーホルダータイプにして通勤バッグに忍ばせておくことで、いつでも一緒に行動することができます。
その他
技術の進歩や多様化するニーズに合わせ、上記以外にも新しいカタチのメモリアルアイテムが登場しています。
置物兼用オブジェ(モバイル型): 普段は自宅の小さな手元供養スペースに綺麗に飾っておき、旅行や法事などで外出する際には、中身のミニボトルやチャームだけを取り外してカバンに入れて持ち運べる、置き型と携帯型が一体になったタイプです。
腕時計型: 時計の裏蓋や文字盤の裏側にインナーポケットが配置されており、時間をチェックするたびに大切な人を想うことができます。
砂時計型:遺骨を細かく粉骨し、砂時計にして「一緒に時を刻む」ことができます。
セラミックプレート型:粉骨にセラミックを混ぜて固め、プレートなどにして保管することができます。
遺骨は原型のままか、それとも粉骨するか
遺骨を粉骨せずに原型のままで封入したり加工したりするか、それともパウダー状に粉骨してから加工するかなど方法を選びます。する・しないの判断は自由ですが、加工タイプの遺骨アクセサリーは、あらかじめ粉骨しないとできないものも多いです。
原型を残すメリットは「面影を残しておけること」、デメリットは万が一遺品として残してしまった場合、残された遺族が処理に困る事でしょう。
粉骨のメリットは散骨や後片付けが容易な事、デメリットは湿気に弱いことです。
アクセサリーとは異なりますが、鎮座している仏様のような姿をしていることから「のど仏」と呼ばれている第二頸椎だけを粉骨せずにそのままの形状で保管している方も多く、宗派によってはそれを推奨しているところもあります。
収納型か、それとも加工型か
収納型とは、遺骨に混ぜ物や加工処理をせずに封入するタイプの物を言います。ジュエリーの内部に小さな空洞(ネジ式のキャップなど)があり、付属のキットを使って自分でお骨を納めるタイプや、ミニ骨壺などのタイプがこれにあたります。メリットは手元供養後は納骨したり散骨したりすることが容易な事、デメリットは粉骨状態なので湿気や風失に注意が必要なことです。
加工型とは、レジン(樹脂)やガラス、陶器などに遺骨を混ぜたりするタイプや、遺骨から炭素を抽出して高温圧縮し人工ダイヤと融合させるタイプなどがあります。メリットは風失する恐れが少ない事、デメリットは手元供養後に納骨や散骨ができない、最終的な処分に困るといったことです。
遺骨アクセサリーは「バチが当たる」のか?
「バチが当たる」とは漢字で書くと「罰が当たる」になります。実はこれ、仏教用語でして「神仏や天から科される懲らしめ」のことを、仏教用語で罰(ばち)と呼ぶことからこの漢字が使われました。では仏教と宗派、各種宗教では魂と遺骨の捉え方に対してどのような解釈をしているかまとめました。
仏教(一般的な宗派)
亡くなってから四十九日間の旅を終えると、魂は成仏して浄土(あの世)へ向かうとされています。そのため、四十九日を過ぎた後のお骨に魂が残っているという教えはありません。
仏教(浄土真宗)
「亡くなるとすぐに(一瞬で)阿弥陀仏によって極楽浄土へ連れていかれ、仏になる(往生即成仏)」という教えです。そのため、最初からお骨に魂は留まらないと考えます。
神道(しんとう)
亡くなった人の魂は、葬儀(神葬祭)を経て「家の守り神(氏神)」となり、子孫を見守るとされています。神道において死は「穢れ(けがれ)」と遠ざけられる対象でもあるため、神社にお骨を納めることはなく、お骨=神様(魂)とは考えません。
キリスト教
魂は神のもと(天国)へ召されるという考え方が基本です。地上に残されたお骨は「神から授かった地上の器」であり、信仰の対象や魂そのものではありません。(※カトリックでは散骨を認めず墓地への埋蔵を推奨しますが、これは魂があるからではなく、肉体の復活の教えや故人への敬意によるものです)
後悔しないために!遺骨アクセサリーを選ぶときの重要ポイント
遺骨アクセサリーは、この先何年、何十年とあなたに寄り添い続ける大切な宝物になります。だからこそ、デザインの好みだけで直感的に選んでしまうと、途中で「紛失してしまった」「壊れてしまった」と後悔することになりかねません。
ずっと安心して身につけ、大切な人との絆を感じ続けるために、購入前に必ずチェックしておきたい4つの重要ポイントを専門家が解説します。
ポイント1:生活スタイルに合った「耐久性」と「素材」を選ぶ
アクセサリーは、素材によって傷つきやすさやお手入れのしやすさが大きく異なります。ご自身のライフスタイルを振り返り、最適な素材を選びましょう。
- 毎日ずっと身につけたい方(お風呂や水仕事も外したくない場合):サージカルステンレスやチタン、プラチナ、18金(K18)といった、変色しにくく金属アレルギーを起こしにくい高耐久な素材がおすすめです。特にインナーポケット型を選ぶ場合は、「完全防水(ネジ部分にシリコンゴムパッキンがあるものなど)」の構造になっているかを必ず確認してください。
- お出かけのときだけ身につけたい方:シルバーや真鍮(ブラス)、レザー(本革)をあしらったデザインなども選択肢に入ります。ただし、シルバーは汗や空気で変色しやすいため、定期的なお手入れが必要になる点を頭に入れておきましょう。

ポイント2:日常に溶け込む「デザイン」かどうか
最も大切なのは、「あなたが心地よく身につけられること」です。
あまりに個性的すぎるデザインや、一目で「お骨が入っている」と分かるようなデザインだと、周囲の目が気になって次第に身につけなくなってしまうケースがあります。
普段の服装や職場の雰囲気に馴染む、シンプルで洗練されたデザインを選ぶことが、長く愛用するための秘訣です。「周囲には秘密のお守り」として、さりげなく日常に溶け込むものを選びましょう。
ポイント3:将来の計画に合わせた「加工方法」を選ぶ
前の章でも触れた通り、遺骨アクセサリーには「インナーポケット型(自分で納める)」と「加工・一体型(樹脂やガラスに混ぜ込む)」があります。
- 将来、お墓や海に還す可能性があるなら「収納型」:「自分が亡くなったときは、この中のお骨も一緒にお墓に入れてほしい」「いつかは大自然に散骨してあげたい」と考えている場合は、後から中身を取り出せるネジ式の収納型一択となります。
- 一生形を変えずに手元に置くなら「加工・一体型」:樹脂やガラス、ダイヤモンドに加工した遺骨は、後から元の状態に戻すことができません。完全に固定される安心感はありますが、親族間で最終的な処分方法について意見が分かれる可能性がないか、事前に確認しておくとトラブルを防げます。
ポイント4:加工業者の「信頼性とサポート体制」を見極める
大切な遺骨を託す相手だからこそ、加工業者選びは最も慎重に行うべきポイントです。以下の4点を確認のうえ、信頼できる業者を選んでください。
- 加工方法に問題はないか:遺骨の粉骨方法や使用している器材などに不信感はないか、加工技術や作業場所に怪しいところはないかなど、業者を判別する要素はたくさんあります。
- 遺骨の管理体制が明記されているか: 他の方のお骨と混ざらないよう、個別管理(ネームタグやシリアルナンバー等での管理)が徹底されているかをホームページなどで確認しましょう。
- アフターサポート(修理・サイズ直し)はあるか: 長年愛用していれば、チェーンが切れたり、指輪のサイズが合わなくなったり、ネジが緩んだりすることが必ずあります。その際、お骨が入った状態のまま修理やメンテナンスに応じてくれるメーカーを選ぶと安心です。
- 接客の対応が丁寧か: お骨のやり取りをスムーズかつ敬意を持って扱ってくれる業者かどうかは、事前の問い合わせへの対応や、送骨手順の解りやすさからも判断できます。

遺骨アクセサリー「最終処分」はどうしたらいいの?
実は、現実的な話として遺骨アクセサリーの最終処分方法をどうするか?という問題があります。
通常のアクセサリーは痛んだり使えなくなった場合は破棄すれば良いですが、遺骨が練りこんであったり、宝石と融合されている物はそのまま廃棄するわけにはいきません。また、子供や孫に継承するにしても、引き受けてもらえない場合はどうするのか?ということも考えておかなくてはなりません。

粉骨状態で持っていた場合は、容器から取り出して、ご自身の手で海などに散骨することが容易にできますが、レジンやセラミックなどに混ぜ込んであると散骨はできなくなります。
【実例】以前、お客様が個人の遺骨とセラミックを混ぜてネームプレートを作成したのですが、ご高齢になり残しておくわけにもいかないと散骨して欲しいと持参しました。故人名がしっかり刻まれていたのでそのまま散骨することができず、粉砕を試みましたが硬度が高く、粉々にすることはできませんでした。結局どうにもできずに持ち帰った事がありました。
まとめ:大切な人と共に歩み出すために
故人を想い・偲び、遺骨をアクセサリーにして身に着けることは「生き続ける勇気」を得るためにもとても良い事だと思います。ただし、前述した「セラミック化したお客様の話」のように、アクセサリー化する方法を間違えてしまうとご自身の最後に困惑してしまうケースが見られるようになってきました。
正直にアドバイスさせていただくと、遺骨は加工などせず、粉の状態で持っていた方良いと思います。粉の状態であれば、自分の身に何かあった時には10分もあれば散骨することだってできますからこんな安心はありません。
ただ、遺骨を粉骨すると湿気を吸いやすい状態になることは否めませんので、粉骨した遺骨は防水加工が施されたボトルやペンダントなどに収納し、開けたり出したりしないことをおすすめします。
あとこれも実話なんですが、遺骨ペンダントをしたまま旅行先で無くしてしまったお客様がいらっしゃいました。亡くなった方が大好きだった場所だったので「ここにずっと居たいのかな?」と思い、諦めがついたとはおっしゃっていましたが、本人としてはチェーンが外れるとは思ってもいなかったので当日はショックで眠れなかったそうです。
このように、アクセサリーはいつ壊れるか判りませんので、変な話ではありますが、可能な限り自宅保管しておいた方がいいような気もします。
ということで粉骨の専門家として「遺骨アクセサリー」についてアドバイスさせていただきましたがいかがでしたでしょうか?皆様が安心して手元供養できることを祈っております。

【筆者】舘山文成 まごころ粉骨・千葉本店(アットマガジンズ有限会社・取締役社長)- 創業25年目、散骨事業実績11年目。現在までの委託散骨実績は累計6000件以上、粉骨実績1万件以上、粉骨と委託散骨の専門家。NHK「クローズアップ現代」にも出演させていただきました。

